前回、アトモス再生のキモは「前後スピーカーの音量バランス」だと書きました。
もっと言えば、全ての隣り合うスピーカーのバランスも同様なわけです。
ですが経験上、前後の音量バランスというのがオートセットアップの設定値(サラウンドSPの音量)と、実際の聴感で異なる場合が有りがちだった。という認識から来ています。
それと、「天井スピーカーなくして、オブジェクトの生成は成し得ない」とも書きました。
その根拠とは?(良く考えれば解ることでしたが)
・・そもそもオブジェクト生成の仕組みはどうなっているのか。
今更ながら、それを確認できたのは某社のチェックディスクを知るA氏からの情報からです。
以下、イメージにしてみました。
これはSC-LX78のコントロールアプリのタブレット画面上に加工をしたものです。
配置は5.1.4ch。フロアスピーカーと天井スピーカーの間の空間を示す赤線の枠はイコール、オブジェクトの生成範囲になります。つまりはサラウンド音場です。
従来の5.1chの場合は、底辺の枠から成る平面的な再生であった訳です。
(良いスピーカーなら「高さ」が出せるという話とは別です)
オブジェクトを任意の位置に生成する場合、どのスピーカーがどのように役目を担うのか?
いくつかのパターンを見てみます。
塗りつぶしの丸がオブジェクトで、丸印はその生成時に鳴るスピーカーです。
例1 TFL(トップフロント左)とTRL(トップリア左)の中間のオブジェクトの場合。
2本の天井スピーカーの音量が同じなら、中央に定位します。
例2 同様に、FL(フロント左)とSL(サラウンド左)の中間のオブジェクトの場合。
これと例1は、高さに違いがあるだけであり、前後(Y軸方向)の位置は2本のスピーカーの音量で変わります。
例3 では、上下(Z軸方向)の位置にオブジェクトを生成する場合で、TRLとSLの中間の高さにあるオブジェクトの場合。
これは上下2本のスピーカーの音量で、その高さの定位が変わります。
以上はいずれも、2本の隣り合うスピーカーのみで生成される「ファントム」がオブジェクトになることを示しています。
ここまでで、キモはバランスだと言った意味がお分かりかと思います。
前後位置(Y軸方向)と上下位置(Z軸方向)への定位が出ましたが、いずれも赤枠の外壁に沿った位置への定位であり、聴かせ方としてはサラウンド音場の外縁で「遠め」の位置のオブジェクトということになります。
では、例3の位置から右方向に(X軸方向)オブジェクトを移動して赤枠の内側の任意の空間に定位させるという場合はどうでしょう。
例4 オブジェクトが例3の、TRLとSLの中間から離れて、視聴位置のやや後方左寄りの位置に生成される場合。
このケースでは、5本のスピーカーが鳴りますが、SR(サラウンド右)とTRR(トップリア右)の音量は小さく鳴ります。
FL(フロント左)は前方向への牽引役でしょうか。
例5 さらには視聴者の「近め」で左横の空間に生成をする場合です。
TFLとTRL、それにFLとSLが鳴り、SRは音量は小さく鳴りますが、右後ろ方向への牽引役でしょう。
以上の様に、フロアと天井の全てのスピーカーが微妙にバランスを取って鳴ることで、上下左右任意の空間にオブジェクトを定位させるよう出来るという訳なのです。
当然、フロア設置のスピーカー5chだけでは、高さのあるZ軸方向へのオブジェクトを生成出来ない事も解ります。
それと天井スピーカーはやはり、4本がベターということになりますね。
2本ですとおかしな表現ですが、前後方向がモノラルになるとでも言いますか。
また話を戻しますが、音量バランスが重要なのも理解出来る話でしょう。
そこで、前後のスピーカーバランスの確認と調整の方法です。
僕はAVアンプの「ザー」というテストトーンでマニュアル設定出来る人はすごいと思います。
やはり何らかのチェックソフトは必要です。
しかし、前回紹介した「HiViCAST」のようなチェックソフトが無い場合はどうするか?
もっとも、これでも天井スピーカーは鳴らせませんし。
最近のAVアンプはほぼ、「オールチャンネルステレオ」というような再生モードを備えているはずです。
これを使って出来ないことは無いと思います。
方法としては、2chの音楽ソフトを再生し、音量調整をする隣り合ったスピーカーを除いて、他をミュートするのです。
パイオニア製AVアンプの場合、上に載せたコントロールアプリの画像が音量調整画面で、各スピーカーを個別にミュートが容易になります。
・・さて、この年末年始に向けて話題沸騰の「DTS:X」は、5.1chでも確か2chでもオブジェクトベースサラウンドが再生可能だと言われていますかね。
これを勘違いから期待されている向きがあるようです。
くどいようですが、5.1chでは高さ表現をするオブジェクトは生成出来ないはずですね。
しかし、ドルビーアトモスに特化した、何らかのチェックソフトや、ドルビーのデモソフトは欲しいものですねえ。
注)この記事の内容は、個人の体験を通した解釈によるものですから、細部についての整合性は関知出来ませんのであしからず。
「ゼロ・グラビティ」のISSの火災のシーンがイマイチならば、バランス調整の必要ありです。
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もっと言えば、全ての隣り合うスピーカーのバランスも同様なわけです。
ですが経験上、前後の音量バランスというのがオートセットアップの設定値(サラウンドSPの音量)と、実際の聴感で異なる場合が有りがちだった。という認識から来ています。
それと、「天井スピーカーなくして、オブジェクトの生成は成し得ない」とも書きました。
その根拠とは?(良く考えれば解ることでしたが)
・・そもそもオブジェクト生成の仕組みはどうなっているのか。
今更ながら、それを確認できたのは某社のチェックディスクを知るA氏からの情報からです。
以下、イメージにしてみました。

配置は5.1.4ch。フロアスピーカーと天井スピーカーの間の空間を示す赤線の枠はイコール、オブジェクトの生成範囲になります。つまりはサラウンド音場です。
従来の5.1chの場合は、底辺の枠から成る平面的な再生であった訳です。
(良いスピーカーなら「高さ」が出せるという話とは別です)
オブジェクトを任意の位置に生成する場合、どのスピーカーがどのように役目を担うのか?
いくつかのパターンを見てみます。
塗りつぶしの丸がオブジェクトで、丸印はその生成時に鳴るスピーカーです。

2本の天井スピーカーの音量が同じなら、中央に定位します。

これと例1は、高さに違いがあるだけであり、前後(Y軸方向)の位置は2本のスピーカーの音量で変わります。

これは上下2本のスピーカーの音量で、その高さの定位が変わります。
以上はいずれも、2本の隣り合うスピーカーのみで生成される「ファントム」がオブジェクトになることを示しています。
ここまでで、キモはバランスだと言った意味がお分かりかと思います。
前後位置(Y軸方向)と上下位置(Z軸方向)への定位が出ましたが、いずれも赤枠の外壁に沿った位置への定位であり、聴かせ方としてはサラウンド音場の外縁で「遠め」の位置のオブジェクトということになります。
では、例3の位置から右方向に(X軸方向)オブジェクトを移動して赤枠の内側の任意の空間に定位させるという場合はどうでしょう。

このケースでは、5本のスピーカーが鳴りますが、SR(サラウンド右)とTRR(トップリア右)の音量は小さく鳴ります。
FL(フロント左)は前方向への牽引役でしょうか。

TFLとTRL、それにFLとSLが鳴り、SRは音量は小さく鳴りますが、右後ろ方向への牽引役でしょう。
以上の様に、フロアと天井の全てのスピーカーが微妙にバランスを取って鳴ることで、上下左右任意の空間にオブジェクトを定位させるよう出来るという訳なのです。
当然、フロア設置のスピーカー5chだけでは、高さのあるZ軸方向へのオブジェクトを生成出来ない事も解ります。
それと天井スピーカーはやはり、4本がベターということになりますね。
2本ですとおかしな表現ですが、前後方向がモノラルになるとでも言いますか。
また話を戻しますが、音量バランスが重要なのも理解出来る話でしょう。
そこで、前後のスピーカーバランスの確認と調整の方法です。
僕はAVアンプの「ザー」というテストトーンでマニュアル設定出来る人はすごいと思います。
やはり何らかのチェックソフトは必要です。
しかし、前回紹介した「HiViCAST」のようなチェックソフトが無い場合はどうするか?
もっとも、これでも天井スピーカーは鳴らせませんし。
最近のAVアンプはほぼ、「オールチャンネルステレオ」というような再生モードを備えているはずです。
これを使って出来ないことは無いと思います。
方法としては、2chの音楽ソフトを再生し、音量調整をする隣り合ったスピーカーを除いて、他をミュートするのです。
パイオニア製AVアンプの場合、上に載せたコントロールアプリの画像が音量調整画面で、各スピーカーを個別にミュートが容易になります。
・・さて、この年末年始に向けて話題沸騰の「DTS:X」は、5.1chでも確か2chでもオブジェクトベースサラウンドが再生可能だと言われていますかね。
これを勘違いから期待されている向きがあるようです。
くどいようですが、5.1chでは高さ表現をするオブジェクトは生成出来ないはずですね。
しかし、ドルビーアトモスに特化した、何らかのチェックソフトや、ドルビーのデモソフトは欲しいものですねえ。
注)この記事の内容は、個人の体験を通した解釈によるものですから、細部についての整合性は関知出来ませんのであしからず。
「ゼロ・グラビティ」のISSの火災のシーンがイマイチならば、バランス調整の必要ありです。
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